プロレス文化に見る推し消費の構造
推し消費とは、応援したい対象に時間やお金を投じる行動。「好き」という感情とファン同士のコミュニティの熱量が、価値と利益を生みます。
力道山から続くプロレス文化は、この消費行動を分かりやすく示しています。
推しが生まれるしくみ
昭和のプロレスは、アントニオ猪木や長与千種のような“絶対的王” が君臨する帝国モデル。
令和のプロレスは、高橋ヒロムやウナギ・サヤカなど多様な個性が並び立つ小国モデル。
| モデル | 構造 | 特徴 |
| 昭和型:帝国モデル | 絶対的王が支配 | 帝王・女帝・カリスマの時代 |
| 令和型:小国モデル | 個性が並存 | 小さな熱狂の時代 |
令和のファンは、小国の中から、自分が住みたい場所=推しを選んで応援します。
この構造変化は、一般消費にも波及し、市場規模は約3兆円(推計)といわれます。
長期利益のカギは“推される文脈”の設計
推しが価値と利益を生むプロセスは次の3段階です。
- 個人:自分の感性で推しを選ぶ
- 界隈:推しを中心にコミュニティが形成
- 市場:熱狂が価値と利益を押し上げる
人の頭の中には 「推しのポートフォリオ」 (商品棚)が存在します。
カテゴリごとに No.1 を決めているのではなく、自分の中の“使い分けポジション”を持っているのです。
- AIツール:Gemini / ChatGPT / Copilotの使い分け
- コーラ:コカコーラ / クラフトコーラを気分によって愉しむ
この傾向は、プロレスファンの行動心理と合致します。
| 戦略の変化 | No.1志向 | 推し活志向 |
| 目的 | シェアNo.1 | 熱狂的ファン |
| 提供価値 | 万人向け | 深く刺さる個性 |
| 構造 | ピラミッド型 | ポートフォリオ型 |
| 利益 | 短期売上 | 長期ロイヤルティ |
企業が目指すべきは、“推される物語の文脈をつくること” 。
JR東海と新日本プロレスの『JR東海「推し旅」× 新日本プロレス with STARDOM コラボ推し旅』は、その成功例です。
- 動機:推しに会いに行きたい
- 価値:移動そのものが推し活体験になる
文脈を設計することで、推しへの愛・企業利益・顧客ロイヤルティの3つが向上します。
- 目指すのは「売る」ではなく「推される文脈」
- 推し活志向の市場では、No.1より“熱狂を生む個性”が武器!
推し活志向の市場では、熱狂を生む物語を育てた企業だけが長期利益を築けます。
参考文献
西口一希『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』(日本実業出版社)
