3分でわかる『4Pと4C』
4P&4Cの複眼思考で見えるコト
価値観が モノからコトへと変化した!
商品やサービスを世に問う時には、まず顧客のターゲットと市場での商品のポジションを決めます。
次のステップで「どうやったらウチの会社の商品を買ってもらえるのか?」という戦略を考えます。そのための土台が4Pと4Cです。
4Pは、商品を売る立場である企業視点で商品の機能がいかに優れているかをアピールします。
4つの『P』=商品やサービスの機能
4Cは、商品を買う立場である顧客視点で商品を使用して体験できる価値をアピールします。
4つの『C』=商品から生まれる体験
では、なぜ4Pと4Cという2つの視点があるのでしょうか?
その理由は、モノからコトへの価値観の変化です。人々はモノを消費し豊かになると、単にモノを消費するだけでは満足せずに、モノから得られるコトに価値を感じ始めたからです。
この価値観の変化を敏感に嗅ぎ取った人物が、フィリップ・コトラー(1931-)です。1967年に発表した『マーケティング・マネージメント』の中で“顧客志向のマーケティングの重要性”を示唆しました。
世の中は、“よい商品を作れば売れる時代”から“どんなによい商品でも人に選ばれなければ売れない時代”になりました。マーケティングも売り手の4P視点から、顧客中心の視点で考える方向へと舵を切ります。消費者に商品から得られる体験価値をアピールするために4Cが生まれたのです。
4P&4Cは フィルムでいえば ネガとポジ
消費者が求めるのは商品の認知から情報収集、比較検討、購入、さらには購入後のアフターフォローという『体験』そのものです。
いまや商品から生まれる「体験価値」をパッケージで売る時代であるといえましょう。
4Pと4Cはフィルムのネガとポジの関係です。商品を買ってもらうためには消費者を「モノを売る相手」として捉えた4Pを反転させ、消費者を「1人の生活者」として4Cで捉え直すことが不可欠です。
4Pと4Cを重ね合わせた複眼思考で人々が何を嬉しいと感じ、何を不満に感じるのかを見極め顧客志向の『体験重視』の戦略を練ることが成功への近道です。
1974年のトヨタカローラのテレビCMでは、スピードや燃費といった『機能』でなく家族で愉しむドライブという『コト』を打ち出しています。CMに出演したジェリー藤尾ファミリーの仲睦まじい姿は、当時の「理想の家族像」になりました。
モノより思い出。
1999年の日産セレナの「モノより思い出。 」というキャッチコピーは、消費者に大きなインパクトを与えました。是枝裕和が演出したCMには、セレナに乗ることによって得られる体験に価値を見いだす家族のストーリーが映し出されています。
CMは時代を映す鏡です。カローラとセレナのCMは「モノ消費」の象徴であるクルマのCMのイメージを一新しました。
フィリップ・コトラー他『フィリップ・コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則』(朝日新聞出版)
ヤン・カールソン『真実の瞬間―SASのサービス戦略はなぜ成功したか 』(ダイヤモンド社)
バーント・H・シュミット『経験価値マーケティング―消費者が「何か」を感じるプラスαの魅力』(ダイヤモンド社)
山口周『ビジネスの未来』(プレジデント社)