消費者の 欲求射抜く 2つの眼

マケの門

3分でわかる『4Pと4C』

4P&4Cの ”複眼思考“で 見えるコト

日本人の 消費の変化を 見逃すな!

日産自動車のミニバン セレナは2021年に発売30周年を迎えます。

モノより思い出
 1999年の新型セレナ発売時の「モノ消費からコト消費」への変化を「モノより思い出。 」と7文字で表現したキャッチコピーは、当時の広告界と消費者に大きなインパクトを与えました。

モノより思い出。始めよう、新セレナで。

『万引き家族』でカンヌ国際映画祭でパルムドール賞を授賞した是枝裕和(1962-)が演出したCMはシリーズ化され、自動車というモノではなく、セレナに乗ることによって得られる体験=思い出に価値を見いだす家族のストーリーが映し出されています。

ステータスを鼓舞する「モノ消費」の象徴であるクルマのイメージを一新し“家族仕様”を全面に打ち出し、家族が“クルマに乗ってどこへ行くか?”というコトに価値を置き「コト消費」の時代の到来を告げました。

価値観は モノからコトへと 変化した!

1950年代、日本は戦後復興に成功し高度経済成長に向け加速します。白黒テレビ・冷蔵庫・洗濯機が「三種の神器」と呼ばれた時代です。

よいモノを作り、マス媒体で告知をすればモノは大量に売れ、人々の欲求を十分に満たした時代を支えたマーケティングのフレームワークが『4P』です。『4P』を柱にしたマーケティングモデルは、日本の技術・生産・生活革新に大きく寄与します。

『4P』とは?
 製品、価格、流通、販売促進という“モノを売る流れ”を売り手側の視点で捉えた枠組み

4つの『P』

Product 製品=何を売る
Price 価格=いくらで売る 
Place 流通=どこで売る
Promotion 販促=どう知らせる

4Pは、売る立場である企業の視点で捉えています。商品の機能がいかに優れているかをアピールすることを重視していることがポイントです。

やがて消費は成熟期を迎え、アメリカでは日本よりも早く『4P』を柱にしたマーケティングモデルが疲弊します。

この変化を敏感に嗅ぎ取った人物が“マーケティングの神様” フィリップ・コトラー(1931-)です。1967年に発表した『マーケティング・マネージメント』で“顧客志向のマーケティングの重要性”を示唆しました。ちなみに1967年は世界のGDPの成長率が下降を始めた年でもあります。

経済が、成長期間から成熟期を迎え、消費をすることで優位性を競い合った人々が、商品から得られる体験に価値を見いだす『コト消費』の時代の到来です。

日本では1990年代後半から『コト消費』に移行します。売るのは“商品やサービスの機能”ではなく“商品を使うことから生まれる体験”です。

消費者を「モノを売る相手」から「1人の生活者」として捉えるために、企業視点の『4P』を顧客視点に反転させた『4C』が生まれます。

『4C』とは?
 製品、価格、流通、販売促進という“モノを売る流れ”を顧客(消費者)の視点で捉えた枠組み

4つの『C』

Customer Value 価値=消費者の心を動かす機能的価値・情緒的価値
Cost コスト=消費者の関心事はコスパ。消費者が購入のために費やす時間・労力
Convenience 利便性=消費者にとっての買いやすさ
Communication 対話=企業と消費者の双方に互いの声が届く接点

4Cは、商品の使用を通して消費者の共感を得られるような価値のアピールに主眼が置かれています。

4P&4Cは フィルムでいえば ネガとポジ

今やマーケティングは企業規模を問わず顧客体験を重視した戦略が主流です。

人々は商品を購入するまでのプロセスにも体験(コト)を求めます。アピールすべきは商品ではなく、商品の認知から情報収集、比較検討、購入、購入後のアフターフォローという体験そのものです。

4Pと4Cはフィルムのネガとポジの関係です。2つの視点を重ね合わせて、人々が何を不満に思い、何を嬉しいと感じるのかを分析し、消費者が商品を「知る瞬間」「買う瞬間」「使う瞬間」「ファンになる瞬間」の心理を読み取りマーケティング戦略を設計することが成功への近道です。


参考文献
 

フィリップ・コトラー他『フィリップ・コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則』(朝日新聞出版)

ヤン・カールソン『真実の瞬間―SASのサービス戦略はなぜ成功したか 』(ダイヤモンド社)

バーント・H・シュミット『経験価値マーケティング―消費者が「何か」を感じるプラスαの魅力』(ダイヤモンド社)

山口周『ビジネスの未来』(プレジデント社)